何で紳士服が売れてるの? | プロフェッサー小島健輔の言いたい放題(小島ファッションマーケティング代表)

 

こちらのブログを読んだ弊社スタッフから、質問を受けました。

「何で紳士服の売上が好調なんですかね?その要因に心当たりあります?」

この仕事をやる以前は、こういう疑問を持った際には
ひたすら数字をひもといていたものですが
パーソナルスタイリストになってからは
お客様一人一人の消費行動から、その要因をあれこれ想像するようになりました。

アパレルメーカーにいた時代には、たくさんの数字データは手に入ったものの
お客様の消費行動をミクロに追うことがとても難しかったので
それができる今、あれこれ思考実験することはとても楽しい!

ということで、今回もあれこれ考えてみました。

立場上、細かな数字データが手に入らないので、あくまで思考実験に過ぎませんが・・・

 

「なぜ紳士服売上が好調なのか」の思考実験スタート!

 

まず、冒頭のブログでは、

紳士服関係の方々とお会いする度、好調要因をお尋ねするのだが、様々な見方が交錯して決定打が見えて来ない。『ビジカジ効果では』という指摘は『クロージングの方が好調』『ネクタイが復調』という事実に突き当たる。

とあります。

つまり、

売れている紳士服は、ある程度年齢が高い人向けの紳士服である

ということがわかります。

それにしても、紳士服関係のプロの方誰も好調要因がわからない、というのが
不思議だな・・・とここで思います。

そして、思いつくことは、

「好調の要因は男性にはないのではないか?」ということ。

そう考えると、じっと男性の消費行動を見つめ続けているプロの方ですら
その原因がわからない、ということにも納得がいきます。

となると、要因を握っているのは女性

 

さらにここで、最近の弊社のパーソナルスタイリングのお客様の
傾向が思い出されます。

まず、最近の傾向として、ご夫婦での新規お申込が非常に多い

まず先に奥様がご利用になって、「とてもよかったから」と、
後からご主人がご利用になるケースは以前からよくありました。
もちろん、その逆も。

でも、最近は、初めからお二人でお申込になるのです

2つめの傾向として思い出されるのは、女性が口をそろえて言うこの言葉。

震災以降、あんまり、服を買いたくなくなったんですよねー

いや、おしゃれしたいってことではなくて、
少数精鋭でいいというか。

無駄にたくさん服を買うんじゃなくて、必要なものだけを買って
それ以外のお金は他の大事なことに使いたいんです」

この2つが結び合わさって、私の中にぴかーーんと、ある仮説が浮かびました。

もしかして、

 

奥様方が、今まで自分の服を買っていた予算をご主人に回しているんじゃないかしら??

 

・・・と。

 

 

そして夫婦の会話を妄想

 

奥様(以下、奥)「(クローゼットを見ながら)はぁ、振り返ってみたら私ってこんなに服を買ってたのね・・・

物を持ちすぎるのってよくないわ、やっぱり。なんか最近そんな気分。
よし、この春は必要最低限のものを買ったら、あとはある物で着回ししましょ」

ご主人(以下、主)「あれ?あ、衣替え? 来週の日曜あたりまた買い物行く?春物必要でしょ?」

「ううん、私は今年はそんなにいらないの。だから、その分あなた買ったら?そういえばずいぶん新しいネクタイ買ってないんじゃないの?」

「あーー、俺はなーー、別にいいよーー、めんどくさいし・・・」

「よくないわよ!私は今年は特に買わないんだから。今週末、あなたのネクタイ買いに行きましょ!」

「まぁ、だったら、買おうかなぁ・・・」
 

ということで、誰か数字の裏付け下さい(笑)

 

どうでしょうかね?

また冒頭のブログに戻りますと、

東京地区の紳士服好調は明らかに突出している。

という言及もありましたから、「震災が影響している」っていう私の仮定も
あながち間違いじゃないんじゃないかと思うんですがねぇ。

となると、紳士服と婦人服の売上合計が、前年比トントンだったら
さらにこの仮説にはずみがつくわけですな。

どなたかに数字を検証してみて頂きたいところです。