昔から本が好きです。
何かの映画が話題になると、
まずその原作本を読んでみたいと思うタイプです。
映像で見るよさもあるのですが、
文字から、自分の頭の中で自由に想像を広げて行くのが
好きなのだと思います。
ファッションについてのコンテンツでは
映像や画像は欠かせないものとされがちですが、
文章による描写を読み、
頭にそれを思い描くのも、また違う楽しさがあるものです。
「はっと目が覚めるほどの赤」という文章を読んだ時、
読む人それぞれの頭の中には
その人にとって、一番鮮やかな赤が描かれることでしょう。
そこには、画像で提示されるよりも一層鮮烈な
「ファッションとの出会い」があるように思います。
先日、出版社さまから献本いただいたこちらの本。
これも、文章による鮮烈なファッション体験が得られる本でした。
英国版ヴォーグの元編集者である筆者が、
当時のヴォーグ上でのココ・シャネルについての文章や
イラスト・写真を引用しながら
彼女の生涯を綴った本です。
ココ・シャネルの生涯については何度も映画化されていますが
当時のファッション誌のコメントとともに読むことで
その時代の空気感がより強く迫ってくるような印象。
また、何といっても、シャネルのコレクションについての
描写の美しさに心奪われます。
「まるでアザミの綿毛のように軽いモーブ色のツイードで作られた、シャネルによる究極のカーディガンスーツ」(P.143)
私がお客様をお買い物同行にお連れする時に
いつも意識しているのは、
お勧めする服のどの部分のデザインが優れているのかを
はっきりと言葉で伝えることです。
すると、今までファッションの知識がなかった方でも
どこを見て、服を評価すれば良いのか、
わかるようになるからです。
よくお客様には「risaさんが伝えてくれたようなことを
お店でも商品の横に書いておいてくれればいいのに」
と言っていただくことがありますが、
当時のヴォーグの文章ほど
女性たちのファッション感度を啓蒙していたものはないでしょう。
世界で初めて、
「女性が動いているときに最も美しく見える服」
を生み出したココ・シャネル。
それは、何より本人がとてもエネルギッシュだったからこそできたこと。
そんな彼女の生涯と
生み出したコレクションを、
美しいイラストともに収めた一冊。
イタリアに行く機上で
一気に読み終えてしまいました。
働く女性には、特におすすめです!