こんばんは!
パーソナルスタイリスト・服装心理カウンセラーの久野梨沙(@RisaHisano)です。
ファッションで人の心を知り、動かす「服装心理学®」を活用した個人向けスタイリングやスタイリスト育成、講演活動などを行っています。

「イメコンくささ」の正体。あるいはアパレル業界とイメコン業界の「おしゃれ」観とのズレについて

先日、第2回目となる我らオンラインサロンのオフ会、名付けて「服装心理lab.総会」が無事終了しました〜!

前回ご参加になれなかった会員さんともお目にかかることが出来て、終了後の懇親会も盛り上がりました〜。

お子さん見ながらWEBで参加してくれたりと、早くも会員さん各々の参加スタイルが確立してきているようで何より!今後も無理なくマイペースにご参加頂ける場にしていきます。

さて、この総会では毎回私のミニ講義を行うのですが、その中の余談としてお話しした内容が思いのほか反響が大きく、今日はそのお話しを。

「イメコンくさい」ファッションって?

「イメコンくささ」の正体。あるいはアパレル業界とイメコン業界の「おしゃれ」観とのズレについて

私、「パーソナルスタイリスト」としてファッション誌の取材を受けることも多いのですが、そのとき、ライターさんに結構な確率でこんなことを言われます。

あの、久野さんって、あんまり「パーソナルスタイリスト」っぽくないですよね?
やっぱりアパレル業界出身だからですかね・・・?

言いにくいんですけど、パーソナルスタイリストさんって、あんまりおしゃれじゃない人多いじゃないですか、ほら・・

後半の発言びっくりしますよね? そんなこと同じパーソナルスタイリストである私に面と向かって言うんかい!って😅

でも本当にこう言われるんですよ、それも何人からも。

パーソナルカラー診断や体型診断など、自分に似合う服を診断してくれるサービスのことを最近Twitterなんかでは「イメコン」なんて総称されていますが、これらの診断にハマっている人たち、属に「イメコン沼」と呼ばれる人たちの間でも、この問題はよく取り沙汰されています。

いわゆる、

「似合う服を着ているだけなのに、アパレル業界陣から『イメコンくさい』といわれてしまう問題」

です。

「イメコンくさい」。

まあ言い方からして、褒められてなさそうなことはわかりますよね💦

私がライターさんからよく言われる「パーソナルスタイリストっぽくない」って言葉も、「イメコンくささがない」っていう意味です。

つまり、アパレル業界の人々は、パーソナルカラー診断などの似合う服の診断を受けてその基準通りに作られたコーディネートを見ても、「おしゃれではない」と感じている、と。

なぜ?

おしゃれになるためにイメコンを受けているのに・・・?

それは、アパレル業界とイメコン業界の「おしゃれ」の定義が違うことに理由があります。

さらに、アパレル業界の人たちとイメコン業界の人たちとの性格傾向を服装心理学の観点で比べると、なぜ「おしゃれの定義」が違ってしまうのかということまで、よく見えてくるのです。

イメコンの目指す「おしゃれ」とは「調和」である

「イメコンくささ」の正体。あるいはアパレル業界とイメコン業界の「おしゃれ」観とのズレについて

イメコンと呼ばれる似合う服の診断にはいろいろな種類がありますが、どれも

何らかの外見要素を分析し、それと共通の要素を持つ服の種類を導き出す

というものです。

例えば一番認知度が高いパーソナルカラー診断でいうと、その人の髪色や目の色、肌色といった色素の特徴を分析し、それと共通する服やメイクの色を導き出してグルーピングし、伝えるというロジックの診断です。

黄みの強い色素には黄みの強い服を。

かわいらしいお顔立ちには、かわいらしいデザインの服を。

がっちりとした体型には、しっかりした重みのある生地の服を。

これが、イメコンが提示する服の選び方です。

つまり、似合うとは。イメコンとは。

「外見要素と服やコスメとの調和が取れている」ということ。

そして、それを目指すこと、なんです。

アパレル業界の言う「おしゃれ」とは「対比」である

では、ファッション業界陣の考える「おしゃれ」ってどういうことでしょうか?
それがよく表れるものの一つに、ファッションライターさんが書く文章があります。

上記の記事から引用してみましょう。

例えば、GUCCIのコーディネートについて。

アーティーな柄ワンピにはつい無難なブラックタイツを合わせてしまいがちだが、今季はオレンジのレースタイツにチェンジして、より個性をアピールするのが気分。

ちょっとファッション用語に慣れていないと意味が捉えづらいかも知れないので解説しますと、

普通、派手な柄のワンピースを着たときには、他のものは地味にまとめたいと思うものなので、やっぱり一番合わせやすいなのは黒のタイツ。だけど、そこを敢えて、オレンジ、しかもレースのタイツを合わせちゃってるところがおしゃれなんだよ、ってことが書いてあります。

次。FENDIのコーディネートについて。

テイラードジャケット×Vネックのニットという組み合わせに、あえてツヤ感のあるエナメルスカートと合わせて、モード感を演出。

テーラードジャケット(「テイラードジャケット」って書いてありますが、一般誌では「テー」と伸ばすことの方が多いのでこの書き方で失礼)とは、男性のスーツのジャケットのようなギザギザした襟が付いたジャケットのこと。そこにVネックのニットを合わせると、かっちりした印象のコーディネートになります。

そこに同じくかっちりした印象のスカートを合わせるかと思いきや、エナメルのつるつる光るスカートを合わせてるんだよ。これがおしゃれだよね・・・ってなことが書いてあります。

わかりますかね?

アパレル業界で「おしゃれ」とされる組みあわせやデザインのほとんどには「意外性」があります。

普通ならばこう合わせるところをそっちに行くか!

このデザインならこういう雰囲気でまとめがちなところを真逆のこっちに持っていったか!

そういうのが評価されやすい傾向にあります。

つまり、イメコンの調和とは真逆、対比の文化です。

ですから、お人形さんのようなかわいらしいお顔立ちのモデルさんが、ものすごくパンキッシュな・・・つまり、革ジャンにボロボロのジーンズなんか履いてて「おっしゃれーーー!」って言われているなんてことも、よくあります。

イメコンであれば、かわいらしいお顔立ちならフェミニンなワンピースが正解なのに、です。

「イメコンくささ」の正体と、この違いが生まれる背景にある性格傾向の違い

ここまで読んで頂ければもうおわかりでしょう。

「イメコンくささ」の正体とは、「全部揃いすぎてて面白くない!」ってことです。

つまり、これは、

ファッションに面白みや意外性を求めている人とそうでない人とのすれ違い

の問題です。

ですから、イメコン業界的な「おしゃれ」もアパレル業界的な「おしゃれ」も両方叶えたい!って思うなら、

顔周りは顔立ちに似合う服着といて、ボトムには違う雰囲気の服を着る

とか、

シルエットは体型のタイプに合わせるけど色だけは外す

とか、そういう高度なスタイリング技術が必要になります。

さらに。

「おしゃれになりたくてイメコン受けて言われたとおりのもの着てみたけど、全然ピンとこなかった」

って人は、あなたの思うおしゃれはアパレル業界寄りのおしゃれだったのかも、って可能性も。

それなら、思い切ってイメコンで言われたのと真逆の服を着た方が「おしゃれ!」って感じられるかも。

(・・・まぁ、本来はイメコンで「あなたの思うおしゃれはどっちなのか」を掘り下げることからスタートしとけばこんな悲劇は起きないんですけどね・・・)

で、イメコン業界とアパレル業界のおしゃれの定義が真逆になってしまうのには、性格的な背景が大きいです。

「イメコンくささ」の正体。あるいはアパレル業界とイメコン業界の「おしゃれ」観とのズレについて

▲こちら、服装心理診断でわかる5つの性格傾向ですが・・・

アパレル業界の人は、服装心理診断を受けて頂くと、「独創性」が高い値を示す人が多いです。人と違う自分を表現したいと思う人、そして見慣れたものにすぐ飽きてしまい新しいものを高く評価する性質を持つ人が多い。

だからファッションには「意外性」とか、対比から生まれる新しさを求めます。

対してイメコン業界の人は、「愛着性」や「一般性」を示す人が多いです。

人からどう見られるかを強く意識する人が多いので、全体で1つのイメージを表現したい=調和 をファッションに求めやすくなる、というわけ。

お客様からも

「ファッション雑誌とイメコンの人の言っていることが時々噛み合わないのでどっちを信じればよいのかわからない」

というご相談をよく頂くことがありますが、立っている前提が違うので、比較をすることが無意味なんですよね・・・。

だからまずは、「自分はどっちに立つのか」を決めないことには始まらない。

なのにイメコンではそこからは始めてくれないから、余計混乱してしまう、という・・・。

ということで、私が主宰する「服装心理lab.」では、自分のおしゃれをどう定義づけるか、という本当のスタートラインから、しっかりやっていくことを特に意識しています。

おしゃれを学びに来たはずなのに、まさかこんなに自分の内面を掘り下げることになるとは思わなかった😳

って皆さん驚かれますけど、自分がどうしたいのか、どうなりたいかを決めないと、おしゃれの方向性は決まらないですから。

そうそう、ちなみに私は、

アパレル業界の人と会うとき=対比

イメコン関係の仕事の時=調和

と完全に使い分けてます。だからこその、冒頭のライターさんの評価、というからくりでございました。

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