物作りの論理と消費者の願いは
なかなか噛み合わないもので・・・というお話。
先日、某メンズアパレルの方が
「トレンドアイテムを高く販売するというこれまでの手法は
見直す時期に来ているのかもしれない」
とおっしゃった。
(中略)「トレンドアイテムは安めに、
ベーシックアイテムは高品質である程度高価格」
という価格戦略を構想する。
来年着られるかどうかもわからない
流行りものは、できるだけ安く買いたい。
でも、定番的なデザインで、
流行が変わろうが、はたまた自分が年を取ろうが
変わらず着られそうなものは、
長く着ることが目に見えてるんだから
多少高くても、質が良いものを買いたい。
・・・というのは、消費者としてはすごく当たり前の考え方。
スタイリストとして、個人のお客様のお買い物同行をするときには
この考え方を基本に、お店や商品をセレクトします。
ですが、私がメーカー勤務だったころ、
商品の値段設定をするときには
上記の記事にあるように、
この全く逆だったわけですね。
トレンド性が強いものは、
早く作ってすぐ売り切らなきゃいけないから
納期は厳しくなるし、小ロットだしで
商品の原価は上がります。
逆に、定番品は長く売れることがわかってますから
たくさん材料仕入れて、いっぺんにたくさん縫って、
それも比較的のんびりできることで
一点あたりにかかるコストは結構抑えられるんですよね。
で、その原価をそのまま商品価格に反映させたら
トレンド商品>定番商品
となるわけで。
もし価格設定をその逆にするなら
商品一点一点で利益を出そうとせず、
トータルで利益を出すような価格設定が必要になります。
つまり、トレンド商品に安い価格設定をして
赤字になった分、
定番品に上乗せして、相殺するというワザ。
でもねぇ、これ、やってた経験からいくと
すっごく難しいんですよ!!
それぞれの商品が、いつ、何点売れるかまで
しっかり予測しなきゃいけないし
予測に対して、トレンド商品と定番品の
売れるバランスが大きく崩れたら
ひじょーーーにまずい。。。
だからこそ、冒頭にご紹介した記事の中に登場する
某メンズアパレルの構想には感銘を受けます。
個人向けのスタイリングサービスをやっている今となっては、
物作り側の気持ちも、消費者の願いも両方痛いほどわかるからこそ、
「企業努力」の有り難さが、身にしみます。